岩手県は、糖尿病有病率が、全国で6番目に高いにもかかわらず、県内には糖尿病専門医は39名しかおりません。広大な県土を持つ本県では、少ない医師で多くの糖尿病患者を診療することが課題となっております。さらに2018年4月より内分泌内科分野も担当することとなりましたが、内分泌専門医はわずか6名で、国内で2番目に専門医の少ない県となっています。私たちは、長期的な展望として岩手医科大学の糖尿病・代謝内科において数多くの糖尿病専門医を育成し、県内の糖尿病・代謝・内分泌の診療のレベルアップに貢献すべき使命をもっております。そして、発展途上の私たちの医局は、若い医局員の人材育成や、彼らが派遣された県内各地域の病院でそのスキルを発揮することだと考えています。そのために、医局に所属している期間にはできるだけ数多くの、様々な病態の患者さんと向き合うことが必要で、上級医の指導によるフォローや、若手医師の間での情報共有を心がけています。
また、全身疾患である糖尿病・代謝・内分泌疾患を中心に患者さんを総合的に診療するために、循環器内科、産婦人科、小児科、腎臓内科、外科、睡眠医療科、精神科、歯周病科といった様々な教室と共同して、臨床研究や勉強会をおこなっています。
当医局は糖尿病診療を主体として活動してきましたが、県内の糖尿病診療の発展に役立つよう、私たちは講習会などを通じて医療スタッフの育成に協力し、また患者会活動もサポートしています。一方で、一般医家の先生方に向けた勉強会などにも積極的に人員を派遣しています。
研究を行い新しい知見を見出すことが大学の責務です。私たちの医局では、糖尿病患者さんの長年の診療から得られたデータを解析することで、様々な病態についての研究成果を学術誌に発表してきました。現在は新たに新しい診断マーカーや合併症検査の臨床研究に力を入れており、臨床に直結する研究成果を目指しています。
私たちは内科学を総合的に理解する上で、糖尿病・代謝・内分泌学はうってつけの領域であると考えており、学生の指導にも多くの時間をかけています。
これからもますます糖尿病・内分泌を中心とした診療・研究・教育に力を注いでいきます。
現在、糖尿病・代謝・内分泌内科には、長期出張者を含めて20名が在籍しています。まず若い医師が多いことが医局員構成の特徴です。40歳以上は8名で、他は卒後10年以内の20~30代で占められており、若々しく活気に満ちた医局です。また女性医局員が多いことがもうひとつの特徴です。半数近い9名が女性医師で、華やかな雰囲気の一方で、男性医師がおされる場面もしばしばです。
糖尿病・代謝・内分泌疾患の診療では患者さんと接する期間が長きにわたりますが、男性医師はもちろん女性医師も出産、育児を見据えながら、糖尿病専門医あるいは内分泌専門医を生涯の仕事とすべく日々診療に励んでいます。
糖尿病・代謝・内分泌内科は結婚・出産を経験した女性医師にとって仕事を継続しやすい分野であると考えており、女性医師の勤務継続や職場復帰についても積極的に支援しております。